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金賢姫

事件後に当事国のみならず世界各国により北朝鮮への非難が巻き起こったが、北朝鮮が意図した「韓国の信頼低下」という現象は起こらず、翌1988年には無事ソウルオリンピックが開催された。

金賢姫は韓国における1年間の取調べの後、「トランジスターラジオにセットした時限爆弾で858便を爆破した」と認定され、韓国の国家保安法、航空法、航空機運行安全法違反で1989年2月3日に起訴された。韓国の裁判所は一・二審とも死刑判決を下し、1990年3月27日に確定した。しかし韓国大統領は「事件の生き証人」という政治的な配慮から、事件遺族の抗議の中、4月12日に特赦した。また5月には内外の記者との会見が行われ、自己批判と北朝鮮の体制批判をした。この時に飛び出した話の一つが前述の「李恩恵」の話であった。

2004年12月、ソウルの検察当局は訴訟を受けて、事件関連記録のうち個人情報関係を除く全てについて公開を決定した。

金日成の母方の従兄弟で北朝鮮の姜成山前首相の娘婿である、亡命者の康明道の著書『北朝鮮の最高機密』によれば、事件後の1988年当時、平壌は金賢姫の話題で持ちきりであった。労働新聞は、連日韓国の国家安全企画部が金賢姫をでっちあげ、事件を捏造していると報道した。しかし、康明道は平壌外国語大学日本語科出身の張チョルホの話として、「金賢姫が平壌外国語大学日本語科に在籍していたが調査部が連れて行った」と記している[10]。 また、北朝鮮の元工作員、安明進の著書『北朝鮮拉致工作員』によれば、北朝鮮当局は金賢姫は北朝鮮の工作員ではないと最後まで否定したが、金正日政治軍事大学では、金賢姫が対外情報調査部に所属する工作員であることを教官も生徒も誰もが知っていたとのことである[11]。

その後、北朝鮮での南北赤十字会談(1972年)のとき張基栄に金賢姫が花束をささげたのは捏造で、本当は私がささげたと主張する女性が平壌に現れ、朝鮮総聯を経由して録画ビデオがマスコミに配られる事件が起きた。この事件は、自殺に失敗はしたが青酸ガスのため3日間意識不明になるなど命をかけて任務を遂行した金賢姫に、北朝鮮が利用するだけ利用して容赦無く捨てたことを認識させ、完全に転向するきっかけとなった[12]。

安明進によれば、金正日は金賢姫が大韓航空機爆破には成功したものの自殺に失敗し、韓国に連行され北朝鮮の工作員であることや破壊工作の詳細を自白したことを知ると激怒した。まず、対外調査部長は解任され前モスクワ駐在大使であった権熙京が後任になった。また金正日が、

(以下引用)「いつでも女性が問題を起すのだ。女性工作員の数を大幅に削減しろ!」

と命令し、女性工作員の訓練地区であった10号棟双鷹地区を完全に閉鎖した。一時期は、北朝鮮のスパイ組織である3号庁舎では女性工作員をまったく採用しなくなった。さらに、大韓航空機爆破事件3年後の1991年6月に、金賢姫の手記『金賢姫全告白 いま、女として』が発行されると、日本語版が北朝鮮に輸入され朝鮮語に再翻訳されて、教官や安明進を含む大学関係者が読んだとされる。金正日も同書を読み、金賢姫の転向は大学の教育が間違っているせいだと指摘した。すなわち、金賢姫は、韓国は乞食と娼婦があふれていると教育されてきたが、実際の韓国の豊かさや自由を見て北朝鮮当局に騙されていたことを悟り転向したという。その結果、金正日政治軍事大学では、韓国の実情を具体的に生徒に知らせる教育が始まった。一方で、安明進のように、北朝鮮の現状に疑問を持つ工作員を生むことになった。また、金賢姫が、死刑判決後、特赦を受けたことも、亡命への希望を持たせることとなった。

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2008年12月27日 17:18に投稿されたエントリーのページです。

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